介護をしていると、新人にとても厳しい利用者に会うことがあります。キツイ言葉を投げかけられたうえに、他のスタッフと比較してできないことを指摘されたりすると、自分は介護には向いていないのではないか、などと思い落ちこんでしまうこともあるかもしれません。このような時はどうすればよいのでしょうか。
まずは、利用者の要求に応えられるよう、自分にできる小さな工夫をどんどん積み重ねていくことです。例えば、着替えを準備する時に、何も考えずに置くのではなく、下着が一番上で、次にシャツ、セーターなどの順番に重ねておくと、利用者は次に着るものを探すことなく、上から順番に着ていくことができて着替えがスムーズになります。とても些細なことに思えるかもしれませんが、認知症や身体が不自由な利用者にとってこのようなことはすごく大切なのです。
このように利用者のための介護を続けても、利用者にすぐには認めてもらえないかもしれません。しかし、ある日突然、利用者がウソのように心を開いてくれることが介護の現場ではとても多いのです。そして、いったん心を開いてもらえると逆に強い親友や家族のような存在になってしまうこともあり、気難しいと感じていた利用者ほどこの変化は大きいです。
このようにちょっとキツイ人間関係も、最善を尽くしながら少し粘ることで温かい関係に変わるということを体験すると、介護がだんだん面白くなってきます。自分なりの小さな工夫を重ねて、自他の心を温めることは介護の大きなやりがいのひとつなのです。